ラズベリーキューブ(1)

何をさておいてもまずは、女の子の表情が豊かなのが素敵でねー、という話をせねばなるまい。 OPムービーを見たらそのあたりの雰囲気は少し分かるかもしれない。とりわけ印象深かったのは、期末テストの後の、ファミレスでの悠さんの楽しそうな笑顔かな。 悠…

白川紺子"若奥様、ときどき魔法使い。"

ちょっと色々好きすぎるんですよね白川紺子作品は。下鴨アンティークも感想書きたいと思いつつも全然うまいこと書けなかったんですが、こっちは何とかかんとか。 "「俺はそろそろ身支度をしなくてはならない。さあ、口を開けて」 レンに言われるがまま、ロー…

金色ラブリッチェ

何をどう書いたものか迷ったのだけれど、やはり幼馴染みの話をしよう。ネタバレを気にする種類の作品だとは思うので、一応中身は畳んでおきます。

おかざき登"リトルアーモリー"1、2巻

良かった。ひたすらに良かった。 "特に理由はないただの冷やかしだったのだが、未世はある商品を見てピーンと閃き、凛と鞠亜に手招きをした。 寄ってきた三人に、未世はごにょごにょと耳打ちをした。 「……なるほど。うん、未世の分は頼まれた」 「あ、じゃあ…

のまみちこ"みさと×ドロップ"

みさとさんは、さくらさんやちえりさんと比べて内省的というのかな、考えたり感じたことに囚われやすいようなところがある*1。だからこそこの三巻で、みさとさんが、さくらさんやちえりさんや身の回りのことごとに対して語ることについて、なるほどなあ、と…

のまみちこ"ちえり×ドロップ"

"大樹くん、来てるんだ。 ちょっとだけ、息をつく。イヤじゃないんだ。でも、うれしいかと聞かれると……。この気持ちを、なんで言っていいかわからないんだけど。 「チエリ、帰ってきたの? おかえり」 優しい声が台所の方から聞こえてくる。" "「もう、チエ…

のまみちこ"さくら×ドロップ"

"さくら×ドロップ"、"ちえり×ドロップ"、"みさと×ドロップ"と全三巻でそれぞれ主人公を変えながらの連作なので、一つずつ感想を書いていこうかなと思っています。各々カラーが違うのに、どれも凄く良いんですよこれが。 "「なっ……!」と、絶句するあたしに『…

水坂不適合"ひきこもり姫を歌わせたいっ!"

"「君、あれでいいと思ってるの?」 桐生さんだった。 言葉に詰まる。不安は病のように、心を侵食する。だけど、やっぱりいいんだと思えたのは、俺だけの曲じゃないことに気づいたからだ。四人で作った曲なのだ。そう思うと、言葉は勝手に出ていた。 「俺は…

栗原ちひろ"ある小説家をめぐる一冊"

悪魔交渉人も面白かったけど、本作は六使徒シリーズに匹敵するくらい好き(最上級の賛辞)。 このタイトルだし、「一人称の使い方が〜」なんて褒め方をするとまるでメタな仕掛けでも褒めてるのかなんて思われそうではあるけれども、いやいやそういう話ではな…

ナマイキデレーション

"帰り道、三人でいつもの駄菓子屋へやってきた。 新十郎「へぇ。渚の家ってこの近所なのか」 渚「まあね。この駄菓子屋さんも、子供の頃はよく来たよ」 新十郎「へぇ〜。じゃあ俺たち、小さい頃に会ってるのかもしれないな」 渚「そだね」 メイ「我もだな!…

夏恋ハイプレッシャー(2)

"月「そうだね。充実。うん、充実してるーって思う。空ちゃんが来てくれてから文句なしに」 空「大げさだなぁ。別に俺がいなくたってそれはそれで充実してるでしょ。月の性格ならなおさら」 月「くす、分かってないなぁ空ちゃんは」 そう言って一歩前に出る…

夏恋ハイプレッシャー(1)

飾らない言葉の端々がいちいち精度高くて、読んでて幸せな作品でした。大好き。 "月「冴子先生、違いますってば。空ちゃんとは恋人じゃなくて、血の繋がってない心の双子なんですよ? ちなみに私がお姉ちゃんです!」 「なぜわたしがお姉ちゃんなのかと言う…

猫忍えくすはーと

「お手紙」と来た! 即死級のパワーワードですよもう。食らったら死ぬしかない。 "たま「〜〜♪」 ゆら「姉は真剣に悩んでおるのだぞ。何をしている、たまよ」 たま「お手紙書いてるの」 ゆら「文(ふみ)で我らの想いが届くのなら苦労はしない」 たま「お手…

ワガママハイスペック アニメ版のBD特典ADV

ワガママハイスペックOCが発表されたこととは特に関係はないのですが、先日ようやくプレイしたアニメBDの特典ADVの感想。 いや、こういうの書きたくなるくらい、ほんと良かったのですよ。アニメだと尺の都合でみんな早口気味だったのが、ADVだといつものペー…

枯れない世界と終わる花(3)

"レン「みんなおうち、一緒じゃないの?」 コトセ「それは……」 コトセが言い淀む。 ユキナ「昔は一緒だったんだけどね。お年ごろってヤツ?」" エピローグ(というか個別ルートというか)ではもう一度みんなで暮らそうかみたいな話は全然出てこないけれど、…

枯れない世界と終わる花(2)

"アカリ「私も看取られるなら、ユキちゃんがいいわ」 「残される側の気持ちを分かっていながら……」 「”娘”にこんなことを頼むのは、酷い母親気取りだとも思うけれど」 呟くようにそう言いながら。 傾いた柔らかい陽射しに包まれて。 アカリさんは、ただただ…

枯れない世界と終わる花(1)

どう書くべきか、けっこう悩むのですけれども。そうだなあ、まずは体験版をやった時の感想から書いていこうか。 "コトセ「レン、食べたままでいいからちょっとこっちおいで」 寝癖のついたレンの髪に櫛を通す。 「女の子なんだから、身だしなみには気をつけ…

まじかりっく⇔スカイハイ

隼人さんとゆりかさんは胸キュン幼馴染エピソードの宝庫ですね。 "ゆりか「だって……はーちゃんが、長い方が似合ってるって……」 (…) 隼人「サラサラなのに柔らかくて……好きなんだよ。このさわり心地」 「だから、長い方がいいって言ったんだ。その分寝ぐせ…

おかえりっ! 〜夕凪色の恋物語〜

発売当時、たしか雑誌かなんかで見かけたのかなあ、認識はしてた気がするのだけれど(それ自体うろ覚えですが/別の作品と勘違いしてても驚かない)、その時はあまり関心は持ってなかったのよね。だいぶ後になってから志茂文彦氏がシナリオ書いてると知って興…

ワガママハイスペック

"現国教師「みなさんお静かに。あまり騒ぐと他のクラスの迷惑になりますからね」 ぱんぱんと手を叩いて、先生が浮ついた空気を引き締めにかかる。 それを合図にさっと静かになる辺り、このクラスの連中はだいぶ真面目だ。 そして、先ほど返却されたテストの…

弥生志郎"ドリーミー・ドリーマー"

大掃除してたら買った覚えのないラノベが出てきたのだけれど、読んでみたらとても面白くて、勢いのまま感想を書いた次第。 "「それは分からないけど……多分、私が現実で願ったからだと思う。こんな世界になればいいって。現実にいる私は自分自身が大嫌いだっ…

好きななろう小説いろいろ

なんとなく、好きななろう(とノクタ)小説の話をしてみようかと思います。読者が増えればエタらないかどうかはともかく、エタる確率も少しは減るのではなかろうか、とかそんなことを思いながらご紹介。いや別に、エタりそうな作品ばっか紹介するわけじゃな…

花色ヘプタグラム(3)

"久也「なら……俺と付き合ってくれる……?」 真乎「それは待ってくれ。少しだけ……あと5分だけ時間をくれ」 久也「……5分でいいの?」 真乎「それだけあれば十分だ。真面目に考えるから待ってくれ」" 久也さんは真乎先輩の事情を知ってなお、ただ気持ちの求め…

花色ヘプタグラム(2)

"久也「結局、何も思い浮かばなかった」 「玉美って何が欲しいのか、俺にはわからんかった。昔っから無欲だしなぁ」 玉美「……ふふっ、そうかもね。久也には分からないかも」 久也「ん?」 玉美「だって……私が欲しいものって、もうあるんだもん」 「私、久也…

花色ヘプタグラム(1)

"本当に気持ちよさそうにそよそよと来る風をあびて、それからまた雑草取りや虫取りを始める。 丁寧に葉1枚1枚見ていく。 本当に大切に育てているんだというのが分かる。 その様子が、いつもと変わらない。 久也「いずきって暑くないの?」 (…) いずき「…

夏雪

"だから、お姉ちゃんと自分を呼ぶのも当然なのかもしれない。 なのにどうして、当たり前のはずのその言葉に衝撃を受けているのだろう。 とろけるような、むずがゆいような、とにかくそんな心騒がす甘やかな響きに。" "夏雪「ありがと。私も葛ちゃんのこと、…

夏空カナタ

"茅羽耶「ううん、朝倉さんっていい人だと思って」 壮太「俺が?」 茅羽耶「私、よそから引っ越してきたので、いまいちこの島に馴染めてないような気がして」 壮太「そうかな?」 茅羽耶「今日なんて知っている人に話しかけても、妙によそよそしくされた気が…

世界と世界の真ん中で

Celestial globe of your heart. という副題が実はえらく気に入っています。 "美紀「みんなで、大掃除をしましょう!」 愛良「……大掃除?」 中「掃除って、ここを?」 美紀「そう、あたしたちの『エルデシュ』を♪」" やはりこう、最初の、このお掃除のシーン…

ヤキモチストリーム

ヤキモチってひとくちに言ったところで、どうしたってそのありようはひと通りではないし、劇的な気持ちばかりとは限らない。自分の傍に居て欲しいとか、自分のことだけ見ていて欲しいとかって気持ちは、相手がどれほど自分の傍に居てくれそうか、見てくれそ…

ロリポップナイトメア!

大事なことはいつも夜に話される、というのが好き。夜は嘘と怪物と魔法とお菓子の時間で、夜でなきゃ大事なことは話せない。そりゃそうなんです。 "麻那「魔法、ですか」 ……おや。 麻那さんの目が、若干輝いて見えるのは、気のせいだろうか……? 「いいですね…