ウィッチズガーデン

割と冒頭の話。

"小柄だから、上目遣いで……、
まだパジャマのままだから、昨日より幼く見えて。
洋輔「……開けて、マヨネーズかなんかで和えればいいんじゃないかな。あとはそうだな、目玉焼きでも焼かないか?」
あやり「目玉焼き、できるの?」
洋輔「それくらいならまあ、たぶん」
あやり「……おねがいしちゃっていいのかな」
洋輔「やってみる。だからそっちは、パンとツナを頼むよ」
あやり「うん」"

 洋輔くんが、あやりさんが居候してる家にやって来て初めての朝、二人で朝ごはんを作る場面。洋輔くんは元より、あやりさんも実は朝ごはんを作るのは初めてなんだと言うのよね。二人して、どうしたらいいものかなと戸惑いながら、台所のどこに何があるかも分からないんで、手探りにツナ缶を探してきたりする。二人とも料理をどうやったらいいのかなんてロクに知らないし、年長の人らが料理してるのを見て覚えたような半可な知識でさ。丸っきり小学生だこの人たち、みたいなやり取りがとても微笑ましい。
 二人とも寝間着姿で、広い気持ちのよさそうなリビングに朝の光が差し込んでてさ、ほんとこう「お家」なんだよね。それは別に外/内の対立項としての「家」ではなくて、もっと単純な、陽だまりのまどろみめいた暖かさの感覚としての「お家」で。パジャマで、盲目めいて二人手探りで戯れる。ここだけ見るとそんな感じだ。

 ただ洋輔くんは案外と理屈っぽくて、それもおっちょこちょいなタイプの理屈っぽさなので、そういう盲目さに耽溺しきらない辺りも見ててくすぐったいというか、楽しい部分でもある。


"洋輔「いちいち、いいリアクションするよなぁ……」
……もっといろんな表情が見てみたくなる。
同じ歳だけど、小柄なせいか……。なんだか、妹ができたみたいな気分だった。"

 さて洋輔くんとあやりさんが兄妹っぽいのかといえば、そもそも「兄妹っぽい」って何だ?みたいな疑問はあるにしても、どうかなと思う所もある。洋輔くんもね、あやりさんとの距離を計ってるんだ、なんて言いつつ、じゃあ洋輔くんが距離感をきちんとコントロール出来てるのかといえば、全然そういう風には見えない。
 ただ、それはそれとして洋輔くんが自分とあやりさんの距離を「妹ができたみたい」という風に規定することにはもちろん意味というものがあって、その洋輔くんの理屈っぽさに引っ張られて動いていく要素もまたあるのかなと思う。

 なにせあの保住圭でもあるしね、どうなるのかなと思う部分もありつつ、あやりさんルートには未達。どうなるんでしょうね。