Sugar+Spice2(3)

"銀河「べつに、わたし達はそんな関係じゃありませんよ」
歌「そんなって、恋愛がらみじゃないって事?」
銀河「そうです」
と銀河は紅茶に口をつけてうなずく。どうして……そんな相手として、見たことなんてなかったっていうのに。
銀河(……あれ、けど……もしかして、そう見える、のかな。だけど、いや……)
じゃあ、響をどう見ていたのか。自分でも良く分からずに混乱する。
歌も、その混乱の原因が分からないまま見守っていたけれど。
歌「んー、じゃあどうして嫌ってるの? 無理に仲良くしろー、とは言わないけど」
かちゃり、と銀河は紅茶のカップを置いて。
銀河「……嫌ってる、というより……嫉妬、かな」"
"「あとは、天本くんはいつもヘラヘラしてて、頭に来ます」
歌「……そんなにヘラヘラしてるかなあ、あの子」"

"歌「んー、やっぱり、女の子するのって大変だよねー」
銀河「別に、だから女だからとか、男だからとか、そういうのじゃなくて……!」
歌「銀河ちゃんの中では、そうなんだろうけど。それだけじゃ済まないのが世の常といいますか」"
("気になる彼との付き合い方"より)

 銀河さんが響くんに最初にカチンと来た理由は、それはまあ恋とは直接は関係のない話だっただろう。もちろん、事後的に"その時から恋が芽生えて〜"などと騙っても特に誰が困るわけでもないのだが、それはそれ。
 だけどそこで歌さんからどんな関係と問われた時、それはとても難しい問いとなる。どんな関係? 嫉妬だなどと答えたところで、それで全部には決してならないし、そもそも嫉妬というのは気持ちであって、関係じゃない。
 響くんは銀河さんのことを女の子として見ているように見えると、歌さんは言う。それは確かにその通り。だけどそれが関係を全て決めているわけではない。それはつまり歌さんの言うとおり、女の子って大変よねということであって、その謂は説明するまでもないことながら、銀河さんはカギカッコ付きの「女の子」であって、響くんとの関係とはその関数として決まっていくものなのだという話。


 なのに、響くんは銀河さんから冷たい態度を取られていても、銀河さんに世話を焼くことを止めない。よく知らないし深い付き合いもない異性であっても、信用できると思えばルームシェアを提案したりする。つまるところ響くんは銀河さんに対してどういう立ち位置にあるか/あろうとしているか/あるということにしているかということについてろくに意識してないまま行動するわけで、関係の結び方と世話を焼くことについて、響くんの中では全然連続していないのだと。