Sugar+Spice2(6)

"先輩が、ため息まじりの優しい笑みを浮かべて。
「――好きよ、わたしも」
風花「先輩! なんかそれ、意味ちがいませんか!?」
銀河「な、何がよ! わたしだって、あなたたちと同じで――!」
薫子「同じで、どんな気持ちなのかしら」
あいかわずみんなは明るくて、にぎやかで楽しくて。
そして優しくて暖かくて。"
(Everything Nice!より)

 まあ結局、響くんは基本的に大雑把で無神経なんですよ。和真くんは二月のあの日、分かっていて藍衣ちゃんの看病をすることを敢えて選んだわけで。でも響くんが薫子さんにルームシェアを持ちかけたのは単にそうすべきだ/そうしたいと感じたからその気持ちに対して素直に行動したからであって、別に何かを選んだからじゃない。もちろんそれは和真くんと響くんのどちらがより優れているという話ではないのだけれど、まあでも響くんは適当だよね。
明るいのもにぎやかなのも楽しいのも本当だろうけど、でも四人の女の子が響くんの腕を取り合うようなことをしてたり、微妙に鞘当て感のある一幕を演じてたりするのに、それを完全にスルーして実に脳天気なのが響くんでね。だがしかし、そういうしょうのないところまで含めて彼の良さで、前に進むための力で、そういう人なのが響くんなのだなあと、特に銀河さんルートなど読んでると思えてくるわけです。

 響くんは「明るく楽しく」がモットーだと言うけれど、彼はどう見ても、意識的に明るく楽しい日々を作り出していく為に努力する、みたいな人ではない。響くんは明るく楽しい今の時間が持続可能なものなのかとか、将来どうなるのかとか、正直そんなに深く考えてないだろう。でもそれは刹那主義だとかではなくて、もっともっと図太くて自分勝手で力強いものなのだと、響くんにここまで付き合って、ようやくそのことに対して肚の底から得心が行くようになる。

 楽しさを作り出すのではない、楽しさをプロデュースするのではない。そうではなくて、世界に無限に広がっている色んなものを見つけて、探して、それを楽しむ。響くんが得意なのはそういう風にただ突っ走ることで、それも周りの人のことなんか本質的には大して考えずに、ひたすら好き勝手やるんです。そして、結果的にそれがいい結果を生む(ことが多い)んだ、と。告白もまた、相手の方に手を伸ばし踏み出す行為だという点において、それと一緒なんだと。
 だから響くんが好きだ、と。