ワガママハイスペック アニメ版のBD特典ADV

 ワガママハイスペックOCが発表されたこととは特に関係はないのですが、先日ようやくプレイしたアニメBDの特典ADVの感想。
 いや、こういうの書きたくなるくらい、ほんと良かったのですよ。アニメだと尺の都合でみんな早口気味だったのが、ADVだといつものペースで喋ってくれるのがまず良かったわけですが。いや当たり前と言うなかれ、こういうの安心感ありますね、やっぱり。

"未尋「兎亜ー! お菓子いっぱい買ってきたよー! 今夜は騒ぐよー!」
かおるこ「あ、ご、ごめんね兎亜ちゃん。未尋ちゃんが絶対入れてくれるからって呼び出されて……」
アーシェ「ねぇ未尋……お泊りセットって本当に必要だったの?」
兎亜「うるさいよ3人とも……近所迷惑になるし」
かおるこ「そ、そうだよね……ごめんね」
兎亜「はぁ……」
「……とりあえず、上がったら?」"

 んでぐっと来たのがね、ここですよね。鳴海家の玄関前にお泊りセット持って立ってわいわいやってる三人の姿を見た時の、この感じ。いや何と呼べば良いのか、一体、偶有性とでも言うのかなあ。

 最初、アニメ版に幸樹さんが出ないと聞いた時、ふむむ、と思ったわけです*1。元来の生徒会組と一年生ふたりって、そんなに長い nor 濃い付き合いではないわけですよね。もともと、幸樹さんを介した出会いみたいなとこはあった。だから四人の会話ってのはどういうかたちになっていくものかなと、気になる話ではあったのです。そしてこのエピソードは、それに対するひとつの、とても素敵な答えであったかなと。

 この時、かおるこさんにしたって、兎亜さんが本気で凄く嫌がるだろうと予想しているわけではないだろうと思います。これまでの付き合いもあるし、ホントは寂しいんじゃないかなみたいに思う所もある。でも本人が要らないって言ってるものを押し付けるもんじゃないよねっていうのは当たり前の話だ。それは前に使った言葉をもう一度引っ張ってくるなら、礼儀正しさ、というやつで。

 そこで先輩二人をわざわざ引っ張って鳴海家に押しかけちゃう未尋さんは、伊達に兎亜さんの親友を名乗ってはいないわけで、もちろん兎亜さんの気持ちについては、先輩達よりもずっと強い確信がある。でもそれはそれとして、そもそも兎亜さんが寂しいことって、押しかけ「ねばならない」事情ではないですよね。本物の兎じゃないんだから寂しい思いで死ぬわけじゃなし、それにもし兎亜さん家に行くとしたって未尋さん一人でも良かったかもしれないし。
 結局は未尋さんの楽しそうにしているこれは、未尋さん自身のワガママと呼んでもべつだん差し支えはあるまい。そしてそれだからこそ良いと、そういうもので。

 誰かのためなんかではなく、何かのためでなく、何の帰結でも必然でもなく、単にそこには楽しく過ごす夜がある。夜は短し騒げよ乙女とはよく言ったものです。いやもう、存分に騒げばいい。それに尽きる。

"アーシェ「……急にわたしたちが押しかけたから、疲れちゃったのかもしれないわね」
かおるこ「……悪いことしちゃったかな」
未尋「兎亜は嫌がってないと思いますよ。本当に嫌なら、絶対に家に上げませんし」
「それに兎亜がこんな安らかに寝てるなんて、私と先輩以外の前では初めてです。懐かれてるってことなんだと思いますよ、お二人とも」"

 ここで"懐かれてる"って言葉が選ばれるのがまたよいわけですよ。かおるこさんやアーシェさんのどこが好きだとか、そういう語り口じゃない。そういうんじゃなくてさ、ただ懐いてるのか、懐いてないのか。お泊りパジャマパーティーして楽しいのかどうかを決めるには、それだけで十分でしょうと。

*1:本編やるまでアニメ情報はシャットアウトしてたので