金色ラブリッチェ-Golden Time-(1)


ま、『見た』って事実が残れば充分だろう。
初めて見た外国人3人は、初体験ってだけで嬉しそうだし、
理亜「……」
央路「理亜?」
理亜「……」
理亜「…………」
「なんでもない」

 元旦の夜明け前に央路くんが目覚めて、戸の外には寮の人達やシルヴィさんがぞろぞろ起き出してきていて。玲奈さんや理亜さんが揺り起こされて、ぞろぞろと、まだ青黒く薄暗いおもてへと出ていく。

 別に正月だから何があるというわけじゃないし、年明けだからとことさらに身を引き締める必要のある人達でもない。ただ、それでも、"一緒に初日の出が見られて嬉しい"……そんな風に年明けの朝は少しだけ特別だったりする。


央路「20作くらいやってるシリーズだから内容について語り合う系の楽しみもあるしな。弓おじさんと鳥の人、どっちが強いかとか」
玲奈「そんなこと語り合ったところで」
「え、弓おじさんってメンバーで一番弱いんじゃないの? 鳥の人ってそれより弱いの?」
央路「難しいところだ。どっちもベースはスーパーパワーのないただの人間だけど、弓の人は弓が百発百中で鳥の人は飛べる」
エル「相性の面でかち合っていますね」
央路「鳥の人は軍人として鍛えてるけど銃の殺傷力がイマイチ。弓おじさんはゴルフさせりゃ18連続ホールインワンとかいう狂った性能があるから狙撃すごそうで、難しいんだ」
エル「18連続ホールインワン……超人じゃないですか」
央路「楽しくなってきたでしょ」
戦闘面では男の感性に近いエルさんが食いついてる。
シルヴィア「いいわね。内容、知りたくなってきたわ」

 こんな会話の流れでアメコミ映画を皆で観て、だけどそれで全員が「ああ楽しかった」みたいになるかといえばそうでもない、というのが好きです。別にそこで一体感を得る必要なんかないし、好みが揃う必要もないですね。


 とはいえこういう場面では、前作と比べて時間が進んでいるせいなのかなあ、少しだけ親密さが更に増しているような印象もある。もとより人慣れした人達なので、目に見えて変化があるわけでもないんだけども……時期の他には何が違うのかなと考えてみるに、やはり理亜さんが参加していることが大きな違いだろうか?

 だから、親密さが増したというよりは、その場に生まれる楽しさの総量が増えている、といった方がよいのかもしれない。央路くんにとってもシルヴィさんにとっても理亜さんが居るとき、その時間の楽しさはぐっと増えるだろうから……あとはまあ、ツッコミ役が増えるという効果もありそうだけれども。