妹スタイルはじめました

 こないだ始めたばかりで、まだ序盤もいいところなのだけれど、ファーストインプレッションということで。

"お兄ちゃん「そうだ。テストでいい点取ったらお前がこの前欲しいって言っていたゲーム買ってあげよう!」
苺花「!?」
お兄ちゃん「お兄ちゃんお姉ちゃんからのご褒美だ。どうだ、これなら頑張れそうだろ」
苺花「頑張る。すごい頑張る。ちょう頑張る! うおーー!」
再びがばっとびしっと机に向かう苺花。やっぱり真面目だ。
お兄ちゃん「まあ俺もやりたいゲームだったからいいんだけど」
花梨「なによそれー、無駄遣い。っていうかそれじゃご褒美じゃないじゃんかー」
苺花「……お兄ちゃんとゲーム、お兄ちゃんと一緒にゲーム……♥ ほわわ〜〜〜……♥♥」
花梨「あーなんでもないっすーはいはーい」
花梨「つーか勉強だりぃーーー!!」
お兄ちゃん「教えてって言ってきたのお前だろこのツインテめ。お前もお前できちんと机に向かえ」
花梨「その前にそろそろロメロスペシャル解いてくれませんかね兄さんねえちょっとはやく」
花梨「いい加減ぶっちゃけキツイ!!」
ぽいっと。
花梨「ぶへらっ」
そのままごろーーーんと寝転がって花梨。
花梨「あーこの部屋のモノ全部売ったらいくらになるかなー」

(苺花ちゃんの部屋で、二人の妹にお兄ちゃんが勉強を教えているシーンより)"

 お兄ちゃんから(愛をこめて)かけられていたプロレス技を解かれた勢いのまま、力を抜いてごろんと転がる。大の字になって、部屋の中をいつもと違う視点から眺める。その状態で下の子の持ち物の沢山のCDやらDVDやらの山を改めて見てみると、なんだかそれが浪費の塊にも見えてくる。
 動作は感覚を導くものであって、床に転がったときに見える世界は、座っているときに見える世界とは違う。夕暮れ時、お兄ちゃんと下の子と勉強していて、ふと床にごろりと転がったときに見える世界は、新鮮なものであると同時に、きっと安らぎを感じさせるものでもあるだろう、などと思う。
 窓から差し込む夕陽とか、側に立っているお兄ちゃんや苺花ちゃんとか、天井の高さとか、周りを囲むモノ達の群れとかさ。文章自体はかなり抑制がきいていて動作や言葉以外のことについてはあまり語らないのだけれど、多分根っこの部分には、そうしたものが常に存在している。


 んで。ごろんと転がって力を抜けば、あー、と気の抜けた声も出ようというものであって。動作は言葉を導くものでもある。雄叫びをあげてみたり、ほっぺをつまんでみたり、会話は動作によって度々インタラプトされる。兄弟姉妹合わせて六人も居れば、いつだって誰かが何かしら変なことをやったり言ったりするので、しばしば会話はぐるぐる回る。それでも、たとえばお兄ちゃんと妹達が別居しなければならなくなる出来事がそうであるように、時間が過ぎていく内に、ぐるぐる回る会話を重ねるうちに、なんやかんやと不可逆的に変わっていくものはあるんだろう。
 ただし書き添えておくならば、不可逆的であることは破壊的であることとイコールではない。彼らの様子を見てると、あまり破壊的な変化ってのは起きないのではないかとも思っている。まあまだ序盤なので、この先どうなるかは分からないといえば分からないのだけれど。