Sugar+Spice2(4)

"祭「はっ。わたくし、春瀬祭と申します。天本風花とは親友で、将来を誓い合った間柄ですっ!」
風花「ただの友達よ」"
("憧れ、避けられ。"より)

"――それにしても親友、ね。
響「俺の場合、さな……なのかなあ」
いまいち、しっくり来ないなあと思いつつ。俺も帰ることにした。"
("フーカはあたしのモノですから!"より)

 話は変わるけど、祭ちゃんが親友って言葉を使いたがりあだ名をいちいち付けたがるのは、それはとても良く分かる話だ。そりゃねえ、お姉ちゃんが友達とあれだけいつも楽しそうにしてるのを見てれば、それに憧れないわけもないのであって。でも響くんにしても周囲の人にしても、「親友」って言葉を使う人ってロクにいないんだよね。いや風花ちゃんだって別に祭ちゃんのことを大事に思ってないわけじゃないんだけど、「親友」という言葉は使わない。一応、さなさんが響くんのことを親友って呼んでるところもあるのだけれど。


"さな「言い訳でしょ。先輩は、ピアノが大事なんだ!」"
"「アタシは! 響の……親友、だから。あたしは、そう思ってる」
「その響のために怒って、何が悪いの! 自分が響になにをしたか、分かってんの!」"
"「ふざけんなっ! 響をオモチャにするな! あいつは、人がいいから、それでも――」"
("銀河とさなと未練と本気"より)

 もちろんさなさんは、ピアノと響くんを天秤にかけたり、それでピアノを選ぶことを一概に絶対に悪いことだとする理屈を持っている人ではない。それで、「親友として」響くんよりピアノを選んだ銀河さんを弾劾してるさなさんの根っこはどこにあるのか、一瞬言いよどんだその言葉は、とかさ。それはまあでも、無粋な話なのでさておくけれど。

 それでも、さなさんと響くんが互いをことさらに「親友」として呼び規定しあっているのかというと、どうなのかなとは思う。